人の学習の仕組み、メカニズムを「どう定義するか?」によって、ファシリテーション方法、学習体験の設計、教え方などが決定します。その最終的なベースについて、toiee Lab独自の捉え方を記します
私たちは、学習理論の目的は「再現性」を高めることです。人の学習を支援し、一人ひとりが「自分なりの次の一歩」や、昨日よりも良い明日を迎えるための支援の「再現性」を高めるために構築しています。
唯一の正しい理論、真実ではありません。
最新の科学的発見、知見を参考にしつつつも、微細な違いを思い切って無視することもあります。また、統計処理による証明(いわゆるエビデンス、古典力学世界観の諸科学)が行えていない、あるいは行えないが、 歴史の淘汰圧を生き残った知恵(叡智と読んでも良いでしょう) が役立つなら、積極的に取り入れ活用します。
つまり、極めて「実用的」で、現実的です。
科学としての正しさ、証明を求める人を落胆させるかもしれませんが、目の前の子供の教育、部下の教育、生徒の主体性を引き出すことなどに関して、何らかのヒントを得られる可能性は高いと信じています。
私たちは、人の学習(生物にも通じます)をシステム論、人工知能研究、その他、複雑系の科学に類する諸所の研究を参考に、FILM2理論と称しています。
FILM2 は、私たちの理論を構成する基本キーワードの集まりです。
学習の仕組み、メカニズムは、以下のキーワードで説明しています。
Feedback (System) : フィードバック
Fractal : 自己組織化、フラクタル構造(入れ子)
Intentional : 意図的、意識的
Lasting : 永続的
Meaningful : 意義、意味、目的
また、人間本来の学習の仕組みを活性化した結果は、「メタ探究型学習」と呼ぶ状態になると考えています。この状態を無理やり英語(語呂合わせのために)にしたものが、以下の通りです。
Meta Inquiry Learning
F, I, L, M それぞれ「2つずつ」あるので、FILM2理論と名づけています。
以下では、FILM2理論を構成する種々のコンセプトを解説していきます。
FILM2理論、及び toiee Lab の種々のツール、理論の提唱者について、簡単に紹介します。
toiee Labの学習の定義(人は、いかにして学んでいるか?そのメカニズムのモデル定義)、ラーニング・ファシリテーション、ラーニング・デザイン、子育てへの応用、マネジメントへの応用など基礎理論は、主に toiee Lab 所長 亀田が行っています。
(この文章は、亀田本人が書いています。以下、私=亀田です)
1997年、私は当時珍しかった「コンピュータ(情報学)」に興味を持ち、関西大学 総合情報学部に入学しました。コンピュータの可能性、情報について、情報社会、その先の社会について興味を持ち、入学しました。
しかしながら、多くの授業は「情報学」とは強い相関はなく、既存の授業を無理やり展開していました。
例えば、メディア論という授業には「情報化、インターネットが普及した先の新しいメディアについて学べる」と期待をしていました。ところが、実際は「新聞についての講義」でした。他学部で行われていた授業をスライドさせたもので、今後の未来の見通しについては、深く掘り下げられていませんでした。
コミュニケーション論も、中身は「大阪の文化論」など、タイトルと中身が合わない授業が多くあり、すっかり意気消沈してしまいました。
そこで、大学の授業には頼らず、自由に学ぶことにしました。自分の興味関心に基づいて、関西最大級の所蔵を誇る図書館を活用し、コンピューター、通信の世界を学びました。その中で、特に興味を持っていたのが「人工知能」や「コンピュータで問題を解決する(コンピューティングと呼ばれる分野)」でした。
その後、3回生になり、研究室選びをする中で、「ソフトコンピューティング」と呼ばれる分野に出会い、衝撃を受けました。